<とある日の三姉妹の笑難>
後編

「お姉さま、ご免なさい・・・・私もつかまっちゃったの〜」

 悶えるレスカの隣に、同様に手足の自由を奪われたミルクが運ばれてきた。

 そして彼女も例外なく、くすぐりマッサージの餌食となった。

「きゃははははははははは!あっあっあっあははははははははは!あああああ〜!!」

 もう、三姉妹は姉・妹を助けるゆとりなど無かった。一刻も早く、そして少しでもこの地獄から逃れようと、激しく身を捩るしか抗う術を持たなかった。

「あははははははは!いひひひひひひひひ!!ひゃはははははははは!!!」

 三人は形振り構わず激しく、そして悩ましく体を振り回し、我が身をくすぐる「手」から少しでも体をずらそうとするが、目標が逃げる度に「手」はその後を追って、しつこく食い下がり、三人に一瞬たりとも休むゆとりを与えなかった。

「おおおおおおおおおっ!」

「これは・・・・・・」

「見事な眺めだ・・・・・」

 

ラムネスとダ・サイダーは瀕死のダメージを受けて突っ伏したままずるずると移動を続け、いつの間にか三人を見上げるベストポジションへと移動し、滅多にお目にかかれない魅惑のくすぐりショーを、鼻血を流しながら眺めていた。

「ラ、ラムネス、ひゃっははははははははは!な、何、くひひひひひひっ、何のんびりと見てるのよ、あ〜っはははははははは!!はや、はや、はやく助けてよ」

「あはっ!あはっ!ダ・サイダー!!あんたも、あふははははははははははは!見てないで助けろぉ!きゃはははははははは!」

「「やだ!」」

 絶叫して懇願する二人の願いを仮にも勇者と称する二人はあっさりと拒否した。

「こんなチャンス滅多に無いもんね〜」

「そう!男ならこのシチュエーション、最後まで見届けるべきだ!」

 男であれば何となく頷いてしまいそうな理不尽な意見を、思いっきり主張する二人。本能の方が理性より突出している様である。

「そ、そんな御無体な・・・あははははっははははは!それでも、ひひひひひひ、それでも勇者ですか〜っくくくひゃはははははは!!!」

 この、くすぐったさに笑い悶えるココアの一言はラムネスの理性ゲージを僅かに上げた。

「!!」

 途端に真顔となり、勇者の自覚を思い出す。だが、姿勢はそのままで、三人の艶姿を見つめたままな所は、『僅かに』を実証していると言えた。

「まぁ、待てラムネス!」

 本能的に、今にも立ち上がろうとしていたラムネスをダ・サイダーが制した。

「何だよ、せめてココアは助けなきゃ・・・・」

 該当外の二人が聞けば激怒するだろう台詞をラムネスは言った。幸い、二人は今も激しく笑い悶え、自らの笑い声でその発言を聞くことが出来なかった。

「お前はせっかちでいかん。いいか・・・・・・・・・」

 ダ・サイダーはいかにも年長者ぶって、ラムネスに耳打ちする。大抵こんな場合、ろくな発言では無いのだが・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・!」

 提案を聞いたラムネスの表情が一変した。そして熱い眼差しをもって、ダ・サイダーを見上げる。

「・・・・ダ・サイダー!!俺は今日ほどお前を年長者として尊敬したことはない!!なんて素晴らしい提案なんだ!」

「有り難う、ラムネス。我が思い聞き入れてくれて・・・・・」

 ニヒルに笑むダ・サイダー。状況がまともで、予備知識のない女性であれば虜に出来るだろう、会心の笑顔だった。

「それではラムネス・・・・」

「ダ・サイダー・・・・」

「「作戦開始ぃ!」」

 二人は二手に分かれ、それぞれのターゲットに向けて一気に間合いを詰めた。ラムネスはコントロール装置に、ダ・サイダーは電源コンセントに向かって。

 当然、機器を察した「ストロングマシーン」が攻撃に移ったが、煩悩パワー全開の二人の動きに対応しきれるわけもなかった。

「「うおりゃぁ!!」」

 ラムネスがアストロヨーヨーでコントロール装置の「一時停止」を押し、その次の瞬間、ダ・サイダーが愛用のマシンガンで電源を破壊した。

 規模は大きくても所詮は電化製品。電源を失った「ストロングマシーン」はがっくりと力を失い機能を停止した。が、直前にラムネスによって指示された一時停止命令によって、三人の拘束は維持されたままだった。

「うむ!!」

 目論見が成功した二人は会心の頷きを見せると、予定通り三人の下へと駆け寄った。

「「大丈夫かココア!」」

「「何でそうなるのよ!!」」

 揃って、しかも迷わずココアの下に向かった二人に、本来の恋人(であるはず)の二人がこれまた揃って抗議の声をあげた。

「この馬鹿!順序が違うだろ!!こっちを先に助けろぉ!」

「ラムネスの浮気者ぉ!!馬鹿ぁ!人でなしぃ!」

 体が自由であれば、蹴りやパンチくらいは当たり前であったが、拘束されたままでは罵声をあびせるしか手段がない二人だった。がだが、それこそ二人の目論見だった。にやりといやらしい笑みを浮かべる勇者二名。

「「あっれ〜?二人とも、その状況でそんな事を言って良いのかなぁ?」」

 二人は両手をわきわきとさせながら、それぞれを罵倒したパートナーの下へとにじり寄った。

 その行動から二人の企みを悟った二人は、揃って身震いした。

「ちょっと・・・・ダ・サイダー・・・・冗談・・・よね?」

「あっ、あっ、待って待ってラムネス、ちょっと待ってってば!」

「ふっふっふ・・・・・恩人に対してその様な暴言・・・・」

「お仕置きに値するなぁ・・・・」

 とは言え、そうなることを期待して、わざとココアに向かった二人である。

 一方で、そんな事も予測できないほどパニックに陥っていたレスカとミルクは必死になって迫る二人の指から逃れようと身を捩ったが、拘束はいっこうに弱まる気配を見せなかった。

「レスカ!」

「ミルク!」

「「覚悟!」」

 二人の指が機械に変わってくすぐりを始めた。

「「あっあっあっ・・・・・あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、あはははははははははは!!ははは」」

 既に機械によって弱点をさんざんくすぐられ、尚かつ開発されていた二人がこのくすぐりに耐えられるはずもなく、大笑いしながら体を反応させた。

 その妖しげな身の捩りに、もともと煩悩モードだった二人の意識は更に暴走し、究極の『オヤジモードEx』に突入していた。

「ほれ、ほれぇ、なかなか良い反応を示すじゃないか・・・え?」

「む〜む、こんなにお仕置きして喜んでるとは、かなりのMかも知れないなぁ」

「きゃはははははっ、そ、そんな訳・・・・あひっあひっ、ある訳ないで・・・あはははははっ!!」

「こ、こら!ひゃはははははは!どさくさに何処触ってる!!や〜っははははははは!!」

 ラムネス達は「ストロングマシーン」同様、二人の全身をくすぐりまくり、その反応から弱点を探し当て、そこを重点的に責めつつも男の本能で胸・尻・太股などにも手を伸ばしていた。敏感な部分に触れられた感触と激しいくすぐりがミックスされ、彼女等の性感は更に過敏になっていった。

「おね、お願いラムネス、もう許して・・・・あっあっあっあああっ〜っはははははははは!!」

 執拗に這い回るラムネスの指に、限界一杯のミルクが涙と涎と鼻水でくしゃくしゃになった顔で懇願するが、彼の責めは一向に緩まる事が無かった。

「そうは言っても、ミルク・・・実は気持ちいいんじゃないのか?」

「そんなわけ・・・ある、ある訳・・・やはははははっ、もう駄目だってば〜!!」

「でもなぁ、体はこんなに悩ましく動いてるし、腰もおねだりしてるみたいだけどなぁ〜」

 いやらしい笑みを浮かべつつラムネスは言うと、くすぐりの手の一方を、大きく開かれていた股間へと移動させた。もちろんその間も一方の手は脇の下、腰、脇腹などを行き来している。

「あひゃ!あっあああぁぁっ〜!!」

 不意に訪れた新たな刺激に、ミルクはビクリと身を震わせたかと思うと、今までとは別種の悲鳴を上げて更によがり狂った。

「あれぇ〜?やっぱりミルク・・・感じてるんじゃ?」

 股間を下着越しにくすぐる指に、汗とは別の液体がまとわりつき出すのを感じて、ラムネスはわざとらしく言った。

「やあっ!だめ、駄目!ほんとに・・・くひひひひっ、はぁっ、あふ・・・・ほんとにもう駄目ぇ〜!!」

 容赦のないラムネスの責めに、ついにミルクは限界に達した。一際大きな悲鳴を上げたかと思うと、小刻みに体を震わせる。と、同時に股間をくすぐっていたラムネスの手に、大量の液体が滴った。ミルクが失禁してしまったのである。

 放尿による開放感に緊張感が一気に途切れたミルクはそのまま気絶してしまった。

「あ〜あ、やっぱりミルクは子供だな・・・・・」

 精根尽き果てた表情のミルクを見て、ラムネスは言うのだった。

「あはっ、あはっ!ああん、そ、そこは・・・ひゃはははははははは!!」

 もう一方のレスカの反応は更に悩ましい物であった。ミルクより年長であるが故に発育しきった肢体は惜しげもなく捩られる体に振り回され、妖しく揺れ震え、生唾モノの様相を醸し出していた。

 ダ・サイダーの責める指の力が自然に強くなるのも当然と言えた。

「ほれ、ここはどうだ?お、そっちに逃げたらこっちを責めようかなぁ〜」

 ラムネスに増してオヤジと化しているダ・サイダーは、少しでもくすぐりから逃れようとするレスカの体を、いやらしく執拗に追い回し的確に弱点を責め続ける。

「こ、こら、いい加減いいいい〜っひっひひひひひひひっ!」

「う〜む、ま〜だ、抵抗する気力があるかぁ?では、これならどうだぁ?あ、つんつんつんつんつんつんつんつんつんつん・・・・・・」

 ダ・サイダーはくすぐりから一転、両人差し指のツンツン攻撃へと変えた。

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 過敏になっているレスカにはそれだけでも、くすぐったさと快感の混じった強烈な刺激であった。

「おっ、これは効果があるようだな」

 レスカの反応を見て更に激しくツンツンしまくるダ・サイダー。

「はあああっ、駄目、それ駄目・・・・はああああああははははっはあははっははは!」

「ほ〜れほれ、どうだレスカ?許して欲しいか?」

「あひっ、あひゃははははは・・・・・・」

 レスカは笑い悶えながらも激しく首を縦に振って応える。

「ならば、最後の罰を受けて貰うぞ」

 そう言うとダ・サイダーは一旦くすぐり責めを止めると、ポケットからある物を取り出し、レスカに見せた。

「そ、それはぁ!!」

 それ、を認識したレスカが驚愕した。

「ふふふふふふふ・・・・・そう、CDドラマではうやむやになった、か・か・か・か・浣腸・・・・だ!」

「ちょっとぉ〜!じょ、冗談でしょう!!」

「い〜や、本気だ!こんなチャンス滅多にないからな」

 そう言って、ダ・サイダーはレスカの右太股を自分の左脇で押さえつけ、既に露わになっている下着を僅かに横にずらし、有無を言わせず所定のポイントに浣腸を注入した。

「ああっ・・・・・・・」

 レスカは体内に注ぎ込まれた液体の冷たさと、これから襲うであろう感覚に恐怖した。

 薬は即効性だったのであろう、効果は程なくして現れた。

「ああああっっっ!!!」

 下半身を直撃する衝動に、レスカは身を捩って耐えようとしたが、拘束されている上に、大股開きの体勢ではそう長くも耐えられようもない。後は精神力で抑えるしかなかった。

 だが、それも長くは続くはずもない。ほっといても、時間の問題であったが、意地悪くもダ・サイダーがくすぐりを再開したのである。それは、実にソフトな責めであったが、現状のレスカには十二分だった。

「きゃああああああっ〜!」

 レスカの激しい悲鳴と異臭、それに伴う異物の音・・・・

 脱糞と不本意な開放感に、レスカは放心状態となり、意識を散らしていった。

「そっちも終わったみたいだな」

「ああ・・・・でも、そっちはやりすぎじゃないの?」

「いいんだよ、レスカの場合、あれ位しないと大人しくならんからな・・・・」

「まぁ、そっちの都合はどうでもいいけどさ、それより・・・・・」

「そうだな・・・・・」

 互いのパートナーを陥落させた二人が揃って一方を見やった。その視線の先にはレスカ&ミルク同様、身動きの出来ない状態にあるココアがいた。

「え・・・・ええ・・・・・・?」

 今まで、ほぼ無言のまま成り行きを見ていたココアであったが、何となく二人の考えが読めてしまい、冷や汗を流す。

「ココアちゃ〜ん、今、助けてあげるねぇ・・・・」

 手をわきわきさせ近づくラムネス。

「安心していいよぉ〜・・・・・」

 同じくダ・サイダー。

 二人のこの体勢での接近は、先程までくすぐり続けられ、さらには姉妹の惨劇を見ていた彼女にとっては最大の恐怖となった。

「ちょ、ちょっと、お二人とも〜、正気に戻って下さい〜。およしになって〜」

「「それは、ココアちゃん次第だよ」」

 揃って二人が言った。こんな時だけ抜群の呼吸である。

「な・・・何をすればいいんですかぁ〜」

 無理難題で無い事を祈りつつココアが問う。

 その発言に二人は満足げに頷くと、ココアにゆっくりと近づき、左右の両耳にぽそぽそと呟いた。

 それを聞いたココアの表情が強張った。

「・・・・・・!!そ、そんな事・・・・・・」

「あれ?出来ない程の事じゃ無いよね?」

「そ〜だよなぁ〜、それとも、こっちの方がいいのかなぁ?」

 ココアの反応に気を悪くした(ように見せかけた)二人は、彼女のすぐ至近でくすぐりのポーズをとった。

「あ・・・あ・・・・わ、わかりましたから・・・・少し考えさせて下さい〜〜」

 流石のココアも、あれだけくすぐりまくられては、そう言わざるをえなかった。既に彼女の体は一番くすぐられていただけあって、指の動きを見ただけで、むずむずとした感覚を感じるようになっていた。

「それじゃ、しばらく考えてよ・・・・・」

「・・・・・・この状態で!」

 言うが早いか、二人は一気にココアの体をくすぐりだした。

「きゃあああ!!く・・・く・・・あはははははは、いやっはははははははははは、止めてくださいぃ〜!!」

 レスカ&ミルクの時とは違い、二人同時のくすぐり責めはココアの体は激しく跳ね上がった。身を揺すり、くすぐったい場所から少しでも体をずらそうとしても、四本の手は次々とココア弱点に触れていった。

「さぁ、どうする?」

「早く返事を聞きたいんだけどなぁ」

「それとも、このままの方がいいのかなぁ?」

 そんな訳もなく、まして耐久力も限界に達していたココアは、その後数分で陥落し、二人の出した条件を受諾してしまった。

それは、

「ストロングマシーン」タイプのくすぐりマシンを、アララ城内のあらゆる箇所に隠して設置する。そして、そのコントロールシステムを小型リモコン化し、ラムネス&ダ・サイダーに渡す・・・・・

 と、言うものであった。

 ココアはやむなく、自分を含め姉妹を良いようにくすぐりまわす機械を自らの手で作る事となった。

 それが、今まで頭の上がらなかったレスカ&ミルクに対する、ラムネス達の策だと言う事と理解していた彼女だったが、それを拒否するだけの体力・精神力も残ってはいない。

 それ以後、「アララ城」が「くすぐり城」と改名されたかは定かではない・・・・・

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